パセリな彼女がついた嘘
『ちょっと、聞いてる?』

少し意識が遠のいて間が空いてしまった。

「実はさ、ウチの近所のコンビニに、すごい美人が入ってさ」

咄嗟に彼女の不安を煽る白状をして、彼女の出方を見る。

まるで牽制球のように。

『ふぅん、じゃあそこで、いやらしい本買うのはやめないとね』

そして彼女の発言は、
なんともいいタイミングで一塁に戻る走者のようだと思った。

「確かに。女の子連れて帰るときも遠回りしないと」

『自分が思ってる程、人は自分のこと気にしてないから』

さっきまでの浮ついた会話とは別人のような、
割り切った会話、それはなんとも居心地がよく。

そして、彼女は、



『まぁ寝ますね、私。あ、因みに私は今日、
お客様に食事に誘われたの、超イケメンだったなぁ』と、

追い込まれて2ストライクから、走者一掃の長打を放つ。
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