パセリな彼女がついた嘘
『ごめんなさい、今実家に来てるの、夕方から暇?』

こう送信してきた彼女と、今しがた見た彼女を、
同一人物として認めたくなかった。

無理やり開いた文庫本は、
学生時代の教科書よりも退屈で、

ビジネス書に書かれた文字は、
ピラミッドに刻まれた暗号の如く僕を混乱させた。

この日のランチに味はなく、
アイスコーヒーは吸殻を水に入れたような味がした。

僕はすべての責任をこの店に押し付け、
二度と来ないことを誓った。
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