パセリな彼女がついた嘘
僕と瑠璃子さんの間に、契約はない。

だけど、こうして他の男の存在を目の当たりにして、
明らかに傷ついている自分に、
彼女への信頼が芽生えていたことを思い知る。

何かを言える立場でも、嫉妬する権利もない。
自分の身辺を棚に上げて、束縛心は生まれる。

僕は投げやりにパチンコ店へ入ると、
機械的に手を動かし、絵柄を揃えることに専念した。

それでもケータイは、きちんと目の届く位置に置いていた。

そしてちょうどここへ入る前に買ったタバコが切れる頃、
瑠璃子さんからの着信があり、外に出た。

すると外はすっかり薄暗くなっていて、
うまく時間を潰し、なんとか気を紛らせた自分を、
自動ドアに映しながら、得意げに通話ボタンを押す。
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