パセリな彼女がついた嘘
「今日は、何してたの?」

僕が聞きたいことを、瑠璃子さんはさらりと言った。

彼女は居酒屋のメニューを開きながら、視線をそのままに、
髪を左手で右側から掴み、その全てを左側へと流してまとめた。

いつもの癖を見せる彼女が、少し遠く感じる。

「駅前の銀行に、預金してた」

僕が言うと、彼女は「えー?」と笑った。

「その銀行ってさ、引き出しに自由が利かないんだ」

「それは、クイズなの?なぞなぞなの?」

僕はそれに答えることなく微笑んで、店員を呼んだ。
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