パセリな彼女がついた嘘
「沖縄はまだ、泳げるの?」

僕がホットコーヒーをかき混ぜて聞くと、
彼女はゆっくりとカップを置いて言った。

「さすがにもう無理、年末、悦司は休みあるの?」

「一般企業並みにあると思う、沖縄行こうかな」

すると彼女は身を乗り出して、
「ほんと?!」と叫ぶように言った。

「夏も、ずっと、ゆっくり会えなかったし、考えてみる」

そう言ってケータイのスケジュール画面を開いた。

彼女はにこにこと微笑んでいて、その姿が単純に嬉しかった。
僕は雪乃といても、十分に、幸せだった。
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