パセリな彼女がついた嘘
『はいはい、もういいから。
私ね、今年一杯で夜の仕事やめるの、てか結婚するの、寿』

その業界でも【寿退社】と言う言葉が使われることに、
少し違和感を覚え、
僕は退職金は支給されるのかが気になった。

「そうなんだ、相手はやっぱり上客なの?」

どうしても僕は、芸者のような世界を想像してしまう。

彼女は転んだ同級生を見るように笑って、

『違います、何の変哲も無いしがない普通のサラリーマン』

「何の変哲も無いしがない普通のサラリーマン」

その形容詞の多さに僕は思わず、繰り返した。
< 125 / 166 >

この作品をシェア

pagetop