パセリな彼女がついた嘘
僕は小田切さんと別れてすぐ、彼女を食事に誘った。

1時間ほどしてきた返信は、そっけないものだった。

『いいけど、何時?』

彼女の連絡に応えることなく過ごした久しぶりの連絡が、
僕の意思によるものでないことに少し気が咎めていた。

ピザが有名なイタリアンレストランを予約した。

最寄り駅で人ごみのなから彼女を見つけて右手を挙げると、
彼女は腕組みをしたまま微笑んだ。

その顔に、小田切さんの面影は感じられず、
僕は離れて暮らすと親子の血も薄まるものかと思った。
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