パセリな彼女がついた嘘
オリオンビールで僕たちは乾杯をした。

レストランの窓の外に揺れる南国特有の植物、
三味線に合わせて民謡を歌う地元の歌手の歌声、
目の前に、花柄のワンピースを着た雪乃。

ゆっくりとした時間の流れを肌で感じ、
僕の五感はすべて沖縄で覆われた。

「ここね、実はブレックファーストが最高なの」

白く細い腕にはトレーニングのように不釣合いな、
ジョッキでビールを飲み、彼女が言う。

「ビュッフェか何か?」

そう言って海ブドウを口に運んでぷつぷつと潰す。

「ううん、敢えてオーダー式のメニューから、
オムレツを選んでみて、最高なの」


番組にCMが入るように、僕の思考が停止した。
< 153 / 166 >

この作品をシェア

pagetop