パセリな彼女がついた嘘
『喫茶ラピスラズリだった、
ほら私先輩のプレゼント買ったでしょ?
あの時どうも懐かしく思って、
その後一回思い出してたんだけど──』

雪乃の言葉の続きが聞こえなかったのは、
一際大きな波の音が、僕のすぐ横で響いたせいじゃない。

僕がケータイをかろうじて耳に当て、
立ち尽くしていると、

『聞いてる?あそこ、夫婦と娘さんでやってるらしいんだけど、
休業してたんだって、でも来年から、再開するって!」

雪乃はすごく嬉しそうに言った。

僕は適当に相槌を打って電話を切り、
その場に腰を下ろした。
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