パセリな彼女がついた嘘
店を出て駅に向かう途中、
正面にいた彼女と連絡先を交換した。

【長島亜里沙】

と表示された名前を登録して、
二人で次の店に行くか聞いた。

「次に行ったら終電ないし、帰ろうかな」

選択肢を僕に残した発言が、
彼女の気持ちを表していたけれど、

「じゃ、また今度」と僕は言って、
他の子たちを探すことなく手を振って向きを変えた。

「ねぇ」と腕を引いたのは、亜里沙だと分かって振り向くと、

「さっきのはなしだけど」と彼女が言った。

実際に何のことが予想のつかない僕が黙っていると、

「男友達と彼氏の違い、あの分別は、
心でつけるものだと思うんだけど、どう思う?」

と言って、腕から手を離し、
高いヒールでやっと僕の肩下にある目線を持ち上げて僕を見る。

僕は微笑んで、「続きは次回だね」と言って別れた。
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