パセリな彼女がついた嘘
戻った彼女と揃って店を出て「ごちそうさま」と言われる。

「どうする?」

風で顔にかかった彼女のロングヘアを、
僕は右手でよけながら言った。

悪魔が迷いなくフルスイングしたその瞬間、

「彼が近くで飲んでるらしいから、そこに顔出して帰るね」

ボールはすとんと落ちてキャッチャーミットに納まる。

予想だにしないフォークボールが
140キロを越えて飛んで来て、

ゲームセット。

完全犯罪は未遂に終わり、僕は「じゃあ」
と表情を変えずに手を挙げて彼女から視線を外した。

天使が僕を桃源郷に導くように、
空車のタクシーが1台止まり、扉が開いた。
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