パセリな彼女がついた嘘
そして用を足し、洗面所で視線を落とすと、
蛇口の横に直径1センチほどの青い、
地球儀を縮小したような色の石をあしらった
シルバーのリングが置いてあった。

手を洗ってそのリングを手に取って店内に戻り、
飲料棚からミネラルウォーターを取ってレジに行き、
先に店員にリングを差し出した。

「これ、お手洗いにありました、忘れ物ですかね」

僕が言うと店員は眠そうな目を見開いて、

「あ、すいません」とだけ言うとリングを受け取り、
何事もなかったかのように事務的にレジを打った。

なんとなくその態度が気に入らず、
いつもは「そのままで」と袋を断る発言をせずに、
彼がミネラルウォーターを黙ってそれに入れるのを見ていた。
< 27 / 166 >

この作品をシェア

pagetop