パセリな彼女がついた嘘
ひとまず500ミリリットルのミネラルウォーターを
手にとって、レジに向かう。

カウンターに僕がそれを差し出すと、

「いらっしゃいませ」と先ほどと同じ声がした。

長財布から小銭を探す視界に、
彼女の短く手入れされた爪と細い指を入れて、
そのまま視線を上にあげる。

「袋に入れますか?」

そう言った彼女と目が合ったとき、思わず

「あれ」と声に出してしまった。


不思議そうに僕を見ながらペットボトルをつかんで、

「あ、137円になります」と続ける彼女に、
どうしても僕は初めて会った気がしなかった。

咄嗟に名札を見てもその見覚えの見当がつかず、
僕はちょうどの小銭をだして、

「そのままで」と言いコンビニを出た。
< 3 / 166 >

この作品をシェア

pagetop