パセリな彼女がついた嘘
執着心というものが欠落しているのか、
変化に対応する適応能力が優れているのかは、
自分では判断できないけれど、
昔から諦めの良いほうで、柔軟に物事を受け入れ、
僕は大きな挫折を味わったことがなかった。

小さな頃から父親に連れられプロ野球をよく観戦した。

だから中学に入ったら野球部に入ろう思っていた。

しかしその意思はあっけなく、
【部員は坊主】の掟の前に粉砕したのだった。

夕飯の主菜はビールで、朝食はほとんど流動食だから、
まともに炭水化物を食べるのは昼食くらいだった。

「どうせろくなもの食べてないんでしょ?
来週そっちに行ったら夜は何か作るから」

ありがとう、と言って電話を切ってケータイのカレンダーを眺めた。

こんな風にしてほぼ毎晩電話こそしているが、
会うのは1ヶ月以上ぶりだった。
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