パセリな彼女がついた嘘
外食が好きな雪乃の事だから、
夕飯は気の利いたレストランでも予約しようと思っていた。

久しぶりの東京には、
彼女が行きたいレストランも増えているだろうに。

この狭い部屋の狭いキッチンで、
僕に手料理を振舞うと言った彼女やさしさで
僕の心は満たされ、ケータイを閉じて穏やかに眠りにつく。

雪乃と電話をする前に受信した
亜里沙からのメールに返信する事はせず、
須藤からの飲み会の誘いも明日断ろうと思った。


いつも自分のために誰かがいて、
自分のために誰かを必要として。

そんな罪の意識から赦しを請うように、
雪乃にリクエストするメニューを決めておこうと思った。

瑠璃子さんの名前を知った翌晩のことだった。
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