パセリな彼女がついた嘘
トイレットペーパーを持ってトイレに向うと、
残りは1つだけになっていた。


僕は改めて、彼女の事を愛しく思った。


用を足して手を洗い、
キッチンで袋から食材を取り出す雪乃の白い腕を見て言った。

「沖縄って日焼けしないの?」

「焼けないようにしてるの、けっこう大変だけどね」

僕がソファーに座って一服しようとしたとき、

「あー忘れた」と彼女が言った。

「どうしたの?」

「ローリエ買うの忘れちゃった」

聞いたことのないそれに僕が言葉を返せずにいると、
彼女が僕の隣にやってきて腰掛け、
タバコに火をつける僕の肩にもたれてきた。

「ローリエだっけ」と僕が言うと、

「うん」とだけ小さく頷く彼女。

「何に使うの?」

「ハーブだよハーブ」

ハーブと聞いても用途が分からない。

「買ってくるよ、雪乃は料理しててよ」

「あら優しい」

僕はタバコを吸い込んですぐに火を消した。

「でもその前に」

そう言ってから、僕を見上げる彼女の顔に近づいても、
彼女は抵抗しなかった。

キスを何度かして、彼女と一緒にベッドに入った。
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