パセリな彼女がついた嘘
あのリングをはめた指でパセリを掴んだ彼女に、

「聞きたいことがあるんです」

と言うと、

「パセリ好き?」

と先に質問をされた。僕は少し考えて、

「パセリって好きとか嫌いとかじゃなくて、
なんていうかオムレツとかの上に乗ってるイメージで、
食べた事はあんまりない感じです」

と言った。

「今日はずっと敬語を使うの?」

彼女はこちらを見て再び質問をしてきた。

僕は「いや」と言って笑い、
タメ語でローリエを探していることを言うと、
先ほどの棚に連れて行ってくれ、
すぐにそこから一つの袋を取ってくれた。

「ローレルじゃなくてローリエなんだ」

袋を見て言った僕に彼女は得意気に、

「同じモノなの、お母さんのおつかい?」と言って笑った。

なるほど、と、すっかり大人になったつもりでいたが世の中には、
僕の知らないことがまだまだたくさんあるものだと思った。
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