パセリな彼女がついた嘘
「ありがとう」と「どういたいしまして」を
言い合い、別れ際に僕は、

「パセリ好きなの?」と聞いた。

すると彼女はかごの中を見つめてから顔をあげて、

「もし、パセリの乗ってないオムレツが出てきたら、
あなたはそれに気付くことができる?」

と言った。

あなたと言われたことに寂しさを覚えて、

「僕、悦司って言います、豊田悦司」と言った。

「瑠璃子です、沢木瑠璃子」

彼女が言い終わらないうちに、

「知ってるよ、ラピスラズリの和名でしょ」と言い、

僕は更に続けた。

「パセリについて考えた事はなかったけど、
今度おいしいオムライスの店に行きませんか?」

彼女はためらいながらも表情を緩めて言った。

「お店の売り上げに貢献してくれたから、いいですよ」


こんな僕を雪乃が知ったら、
やはり、愛想をつかされるのだろうか。
< 40 / 166 >

この作品をシェア

pagetop