パセリな彼女がついた嘘
雪乃との会話は、愛称のいいキャッチャーと
バッテリーを組んでいる投手の気分で、
相手のサインにわざと首を横振ってみることもあるが、
それは絶対的な信頼が揺らいでいるわけではない。

亜里沙との会話では、
一発逆転のホームランを狙っている打者だったが、
彼女の配球はものの見事に僕を翻弄する。


そして瑠璃子さんの場合は、
フルカウントから何度も何度もファールを打って粘り、
どうにか塁に出たいともがく打者になった気分だった。


僕が女性に求める魅力のうち、
こうした会話のキャッチボールの質の趣味は、
実にプライオリティが高く、
それはどれも似ているようで、少しずつ色を違えた。

僕は季節と同じく寒色系が好きで、
その中でもシアンよりは、群青が好きだった。

でもまた一つ、違った色を、


瑠璃という色を知ってしまった。
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