パセリな彼女がついた嘘
歳は同じか少し上、それにしても深夜のコンビニで、
年頃の女性が働くモノなのかと日本の平和に感謝した。

路地に入って50メートル程、
僕の自宅は学生時代から住んでいる築18年のアパートだ。

雪乃が就職をしたら同棲しようと思っていたのだけれど、
彼女の勤務先が沖縄に決定し、それは実現しなかった。

それならばこの古ぼけた小さなワンルームに、
もうしばらく住んでやろうと、この春2度目の更新をした。


部屋の鍵を開けて靴の墓場のような玄関に革靴を脱いで、
電気をつけると、ケータイの振動に気づいた。

スーツの上着を脱いでソファーに座り、
ポケットからケータイを取り出すと、
二つ折りのその窓から【雪乃】が僕を呼んでいた。
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