パセリな彼女がついた嘘
彼女は茶色く染めた雪乃よりは少し短いその髪を、
左手で右側から掴み、その全てを左側へと流してまとめた。

僕はその動作を見送ってから、

「おはよう」と言った。

「晴れましたね」

そう言って彼女は僕から目線をはずして空を見てから、

「お腹空いたなぁ」と続けた。

「行こうか」

僕はそう言って駅から家とは反対側へ彼女を先導し歩いた。

雪乃以外の女性とこんな昼間に二人きりで街を歩く事は、
一体、いつぶりのことだろうと思っていた。

ふとキャバクラ嬢のユミちゃんと、
ラブホテルから朝帰りしたことを思い出して笑った。

「なに?」

遠慮がちに僕の少し後ろを歩いていた
瑠璃子さんの問いかけに振り返ろうとすると、

「いやらしー」と言われた。

彼女はどうやら、
人の心を読むという魔法が使えるらしい。
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