パセリな彼女がついた嘘
こちらのカフェに来るのは、
あの喫茶店に最後に行った時よりも前だった。

僕が3人目の浮気相手に、

『きちんとつきあって欲しい』
と言われて苦いコーヒーを飲んだ以来だった。



「このカフェあんまりいい思い出がないの」

僕はまた、彼女が魔法を使ったのかと思った。


メニューを見る手を休めて彼女を見ると、

「分かった?喫茶店とカフェの違い」

と彼女はドリンクメニューを指差して言った。

「ヒントはドリンク?」

僕が言うと彼女は笑って身を乗り出し、
Vネックの胸元が近づいた。

こういう時ばかりは流石に僕も
【男】を辞めたくなる。

彼女は僕のメニューを指差して言った。

「カフェにはアルコールメニューがあるの、
でも喫茶店にはアルコールは置いてないの」
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