パセリな彼女がついた嘘
僕は少し考えてから、

「でも僕は今日、角を曲がったよ」と言った。

事実、自分が招いたにしろあの苦い思い出は、
今日彼女との思い出で上書きされたから。


彼女は一度僕を見てから、
今日出会った時と同じようにして、
左手で髪を右側から左側に全て持ってきた。

その風に乗って、微かなシャンプーの香りが漂う。

そして視線を落としたまま疑うようにして言った。

「本当にー?別ファイルに、
【名前をつけて保存】してない?」

彼女のくせを覚え、彼女の台詞に心が躍り、
いつになく僕の日曜日は忙しいものとなった。
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