パセリな彼女がついた嘘
彼女の部屋は、

輸入物の柔軟剤と、
雑貨店のようなアロマオイルに混ざって、

少しタバコの匂いがした。

「スーツ濡れてない?掛けるから」

そう言って右手にハンガーを持って左手を差し出す彼女は、
僕が知り合ってから何一つ変わらない瑠璃子さんだ。

スーツの上着を脱いでハンガーを受け取り、
自分でそれを掛けた。

彼女はテレビをつけずにスピーカーのスイッチを押してから、
キッチンに向かって、僕を振り返ると、

「チキンライスとデミグラスソースは作ったんだけどね、
オムレツがまだなの、待ってね」と言った。

そしてコンビニにいるときのように髪をまとめ出した
彼女の姿に僕は思わず後ろから近寄り、腰に手を回した。

スピーカーからは恐らく【ジャズ】という
ジャンルの音楽が控えめに流れて来た。
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