パセリな彼女がついた嘘
「あのさ、」

「だから、待ってってば」

「うん」

「おばけは出ないけど、今度は出たでしょう?」

駅前での出来事がやはり気がかりな僕は、

「おばけも出たかもしれない」

と答えて彼女の首筋に顔を埋めると、
昨日と同じシャンプーの匂いがした。

「どうしたの?」

僕は彼女の首に唇が当たる距離で、

「オムレツって卵いくつ使うの?」と尋ねた。

勿論、そんなことに興味があったわけもなく。

すると彼女は振り返って僕の頬にキスをしてから、
「ひとり2つかな、でも今日は二人で5つ使うね」
と言った。

彼女の前髪が頬に当たると、それは濡れていて、
僕のそこには水滴がつき、とても冷たかった。

けれど残った唇の感触は暖かくて、僕の心の中の、
あの得体の知れぬものへの嫉妬心が、
浄化されていくのを感じた。



彼女はいくつも、魔法を使うらしい。
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