パセリな彼女がついた嘘
「なにしてるの?」

雨の音に混ざって聞こえた声に振り返ると、
ベージュの傘を差した瑠璃子さんがいた。

驚いた僕が黙っていると、

「眠れそうに無いから、ビール、買いに行こうと思って、そしたら」

彼女は先ほど部屋で着ていたワンピースから、
薄手のセットアップに着替えていて、
その上からグレーのパーカを羽織っていた。

「そしたら?」

僕は彼女に一歩近づいて言った。


「泣いてるみたいだったから」


彼女が僕の頬に伸ばした左手を取って抱きしめると、
右手が落ちて傘がはずれ、彼女も雨に濡れた。
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