パセリな彼女がついた嘘
傘が地面に落ちて、アスファルトにぶつかる音が、無機質に響く。

けれど触れ合う部分は柔らかく、暖かくて、
僕はそれを確かめるように腕の力を強めた。

彼女が窮屈そうに顔をあげて、

「一緒に──


僕が少し力を弱めて体を離すと、


──帰ろっか」


そう言い切った。

僕は声にすることなく長いキスで彼女に感情をぶつけ、
彼女もそれに従うよう、僕の首に両手を回した。

雨に足音を隠すようにしてそのまま彼女の部屋へと流れ込み、
4度目の浮気は、極上の背徳感を伴って実行された。


何も聞かずに僕を包んだ彼女の体温だけは、
この世界で唯一、僕を許してくれるような気がした。
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