パセリな彼女がついた嘘
小さな頃から不思議に思うことがあった。

『夢の中で怖いものを見たくないとき、
目を閉じても見えるのはなんでなんだろうね』

学生時代、そう、雪乃に尋ねた。

『夢は目じゃなくて、脳で見てるんだから、
物理的な効果は作用しないの当たり前じゃん』

そう冷たく言い放たれて、寂しかった。

けれど僕が怖い夢を見て夜中に目を覚ますと、
そこにはいつも雪乃がいて、
何故か僕が起こしもしないのに目覚めると、

『怖い夢、見たの?』

と言って僕をきつく抱きしめてくれた。

僕はその腕の中で、幸せな夢を見ることが出来た。
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