パセリな彼女がついた嘘
朝方、瑠璃子さんの部屋で目を覚まして、
タバコを吸いにキッチンの換気扇の下へ向かった。

シンクの端の卵の殻はそのままで、
僕は何気なくそれを数えた。

タバコに火を点けて吸い、煙を吐き出し、

『ひとり2つかな、でも今日は二人で5つ使うね』

と言う彼女の言葉を思い出しながら。

けれどそれは明らかに5つよりも多くて、
臆病な僕はそれ以上数えるのをやめて目を逸らした。


自分の立場を棚に上げて胸がざわめく。
僕はもうとっくに、瑠璃子さんに恋をしていた。
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