パセリな彼女がついた嘘
「いや、ちょっと風邪っぽいんだ」

「雨に濡れて風邪引くなんて、子供みたい」

そう言って笑い、柔らかな動作でレジを打つ彼女。

蛍光灯の下で改めて見るその姿が、綺麗だった。

「何か困ったら電話してね」

遠慮がちにそう言う彼女の控えめな発言が、
僕の看病願望に拍車をかけたけれど、
雪乃以外の女性を家に招きいれる事だけはしたくなかった。



それが、僕の最後の良心。
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