パセリな彼女がついた嘘
「これはこれは衛生兵、悪いね」

「悦司も落ちたもんだね、俺に看病頼むなんて」

浮気の翌日に風邪を引いた僕が
恐縮して連絡をしたのは、須藤だった。

「女の子を家に入れるのは、気がひけてさ」

ベッドに腰掛て頭をかきながら言った。

「雪乃が今更そんなこと気にするかね、
風邪で情緒不安定になってるのかな、悦司くん」

確かに僕の心身には乱れた分子が漂っていた。

それは瑠璃子さんへの想いと、
雪乃に対する愛情の消化不良と罪悪感とが入り混じったもので。

いつになく自分の思考を深く掘り下げていた。

「とりあえず、これ」

と言って須藤はコンビニの大きな袋をテーブルに置いた。

そして中から小さな箱を取り出して放った。

ベッドに落ちたそれは避妊具で、

「さすがに、」と僕が言いかけると、

「雪乃のためだよ、あ、金曜までには治してね!じゃあ」

と言って帰って言った。
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