パセリな彼女がついた嘘
床には紅色の絨毯が敷かれ、低めのソファーが並ぶ。

天井には豪勢なシャンデリアがあり、店内はタバコの匂いと、
いつかの記念日に雪乃と行ったホテルのラウンジで嗅いだ
葉巻の香りが漂っていた。

案内された席で小田切さんが上着を店員に預け、
ソファーに腰掛て間もなく、

「おはよう」

と業界ならではの挨拶で、
黒髪を綺麗にまとめた女性が彼の横に浅く座る。

僕と須藤も並んで腰を下ろした。
< 94 / 166 >

この作品をシェア

pagetop