パセリな彼女がついた嘘
そして耳にインターカムをつけた男性に案内されて、
女性が二人、僕たちの席にやって来た。

3人の女性はいずれも胸元が大きく開いたドレスを纏い、
個性豊かに髪をアレンジしていて、彼女たちが席について動く度、
デパートの化粧品売り場のような匂いがした。

「ツトムちゃん、久しぶりじゃない?」

と僕の隣にいた女性が言ったので、先ほどの名刺を思い出し、
【小田切 敦】の読み仮名を知った。

「前は、先々週くらい?」

と小田切さんの隣の女性が、
ロックグラスにアイスを入れながら彼の顔を覗き込む。

彼女たちの時間の流れの速さが、
僕たちのそれとどれほどの差があるのか。

僕には知る由も無い。
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