パセリな彼女がついた嘘
「やっぱ違いますね、小田切さんの通う店は。
みんな超キレイだし、俺、テンションあがってきた」

須藤のその言葉に、
僕の隣の女性が僕たち二人の顔を見比べていた。

僕たち3人にグラスが行き渡り、乾杯をすると、
「おつかれさまでーす」と女性たちが声を揃えた。

そして小田切さんが何か隣の女性に合図をすると、
「ありがと」と彼女は言い、女性たちが飲み物を注文した。

数分の談笑をはさみ、僕はトイレに立った。
すると、僕の隣にいた女性が同じタイミングで席を立つ。

こういう店ではしばしば、このように女性がトイレまでを
エスコートしてくれるから、僕は何の違和感もなく、
彼女に先を譲り、トイレに向かった。

そして恐らく僕たち3人の席から僕たち2人が
視界に入らなくなったところで、彼女が振り返った。
< 96 / 166 >

この作品をシェア

pagetop