ギア・ドール
「お前・・・もしかして、ケィにソックリの偽者か!」
鈴蘭が叫ぶ。
あぁ、それなら納得だ。
「アホ・・・テストの上に書いてある文字をよく見てみろや?」
「・・・へ?」
言われて、用紙の上の欄を見てみる。
「『K』 射撃訓練結果(ギア) 058/800 判定・・・・・「F」。」
こいつ・・・テスト受けるときも、名前を書かかずにイニシャルでやってやがるのか・・・。
「なるほどね・・・。」
鈴蘭が納得したような声を上げる。
私も、納得だ。
「つまり、ケィ君だけ特別にギアで、テストを受けさせられたわけだ・・・。」
「くそっ~・・・教官のヤツ『お前には、もう他のテストは必要ない』からって特別テスト作りやがって・・・。」
「いや、私は分かるような気がするよ・・・。」
思わず、口に出る。
ケィ君は、なぜかギアの操縦がとことん下手だ。
それこそ、先日ギアの操縦を覚えたての13歳の子どもに負けたというのだから、その腕は折り紙つきだ。
「普通、アレだけ他の技術が優れていたらギアの操縦技術も高いような気がするのだけどな・・・。」
「うるさいわ・・・。人には得て不得手があって当たり前やろう?」
それでも、これは極端すぎだろう?
射撃で『800/800』を出せる人間が、ギアに乗った途端『058/800』なんて・・・。