ギア・ドール

「でも、機械が苦手ってワケじゃないんでしょ?この前、戦闘機訓練で、先生の戦闘機をロックオンしてたじゃない?」


 確か、二週間前に鈴蘭から聞いたケィ君の武勇伝。


「いや・・・キラ。それはもう昔の話だ。こいつ、この前、戦闘機で6体のギアを追撃しやがったぞ。」


 なんと!


「もはや、人間業じゃないね・・・。」


 正直な感想。


 本来、戦闘機はギアのサポートに回るための兵器なのに・・・。


「ええねん。俺は戦闘機乗りになるんやから・・・。」


 確かに、ケィ君なら、それでも十分戦果をあげられそうな気がする・・・。


「いや、周りが納得しないだろう?」


「そうだよ。ただでさえ、私たちは、最新鋭のギア・パイロット選出のために残されて訓練しているんだからさ・・・。」


 特にケィ君は、三人の中でもっとも、最もそれに近い存在だろう・・・。


 それが、戦闘機乗りなんて。周りが許さない・・・。


「ああ、でも、その話やけど・・・・・・・・・・・・」


 そこまで口にすると、ケィ君は突然気まずい表情を浮かべて、目線を静かに鈴蘭にずらした。


 ・・・・・・・?


 その行動の意味はよく分からなかったが、とりあえず私もケィ君につられて、視線を鈴蘭に向ける。


 そこに映ったのは、あらかさまに動揺を見せている鈴蘭の姿。


 ・・・・こいつも、ウソをつくのが下手なヤツだ・・・。


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