ギア・ドール
朧新月210年7月31日。
事件が新たな装いを見せたのは、次の日の午前2時。
白い機体・・・弁財天がスラムに現れたのだ。
いったい・・・何のために・・・。
考える余裕なんて、どこにもなかった。
たった一夜で、もっとも紫卯基地に近かったスラムの北西部が火の海に化けた。
消火活動、救出活動・・・全てが遅れた。
誰もが、弁財天を破壊するのが最優先事項だと考えたからだ。
だが・・・・・・・・・・・。