ギア・ドール
海人は大きくタバコを吸って紫煙を吐き出す。
紫煙独特のタバコの匂いが二人の間に充満した。
「・・・・・・・・・・はぁ~」
それを見ていたジン爺さんは何かを観念したかのように大きくため息をつくと・・・。
「海人・・・俺にもタバコを一本よこせ。今、ちょうど切らしているんだ。」
「・・・ああ。」
それに対して、拒否する理由はない。
海人は、タバコを一本ポケットから取り出すと、ジン爺さんに渡して火をつける。
ジン爺さんの口から、紫煙がはき出て、ゆっくりと真上に上がる。
それを眺めるように見つめながら・・・。
「いいか、これから俺が話すことはほら話だ。信用するんじゃねぇぞ。」
ジン爺さんの忠告。
「ああ。」
それが、何を示すかなんて、考えなくても分かる。
「・・・弁財天に弱点なんてありゃしねぇ・・・。そんなことしなくたって、あいつは放っておけば、勝手に壊れしまうさ・・・。」
ゆっくりと口を開くジン爺さん。
「・・・・・・・・・・どういう意味や?」
意味が分からなかった。
「別に、そのまんまの意味だよ。」
ジン爺さんは、再度タバコを大きく吸って紫煙を吐き出しながら・・・。
「弁財天は人工知能搭載の試作型。
今までパイロットが乗るコトによって制限されていたギアの動きを限界まで引き上げた機体・・・・・。
二本の足で支えるには大きすぎる身体、防御力を重視しすぎて重量を無視した装甲。
片手で支えるにはあまりにも巨大な武器。それらを持ち得ながらも他のギアよりも素早く動けるコトを強要されてる各種バーニアとエンジン部・・・。
どう見たって長期間によって戦える代物じゃねぇよ・・・。」