ギア・ドール
「その中で、もっとも戦闘能力に長けていた、鈴蘭さんを人工知能として使ったわけか?」
報告書を読み終わった海人が、そんな言葉でまとめた。
「元々、鈴蘭って人は人工知能候補の一人だったらしいし、特に剣術については、天才的な能力を持っていたらしいからね・・・。」
確かに、弁財天の剣術はとても並みの腕ではなかった・・・・。
「・・・・難儀やな?」
思わず、口に出た。
「まあね・・・。あ、読み終わったのなら、その紙燃やしておいてくれよ。キラに見つかったら厄介だ。」
当然。
「わかってる。」
それだけ返事を返すと、海人は報告書を丸めて、ポケットにしまう。
「これで・・・すべて終わったのかな?」
アルクが、深刻そうに口を開く。
「だと、ええけどな・・・。とりあえず、もうこんなことは、勘弁や」
弁財天。
純白のボディを持ち、史上最大の出力と重量を持ったギア・ドール。
20以上のスラムの住人を殺害し、スラムの町の10分の1を廃墟に変えた。
海人たちが失ったモノも決して少なくはない・・・。