ギア・ドール
「ホンマや・・・。」
ニュースから視線をそらさず、思わず口から漏れる言葉。
「・・・・みたいだね。」
アルクもそれに続く。
『もう、何やってるのさ?ただでさえ、最近苦しいんだから、しっかりしてよね。』
「あ・・・あぁ・・・せやな。それじゃあ、すぐに行く。」
『うん。頑張って!!』
通話終了。
電話を切って、海人は慌てて壁にかけられているジャンパーを手に取る。
「気をつけろよ。」
いつものアルクの忠告。
「もちろん。」
いつもの言葉で返した。
しかし、海人はリビングの出口に差し掛かったところで足を止めると・・・。
「・・・ところで、アルク・・・最後に聞いてええか?」
顔はあくまで振り向かず、アルクに尋ねる。