ギア・ドール

「まて!!お前たち!これは謀反だぞ!ただで済むと思うな!」


 今度は、確実に聞き取れた。


 後ろから、聞こえる教官の怒鳴り声。


 そして、それと同時に私の耳に響いてくる発砲音。


 施設の教官は常にレベッタを装備されており、それが火を噴いたということは、容易に想像ができた。


「きゃっ!」


 瞬間、私の前を走る後輩の一人が、その銃弾によって倒れるのが見える。


 ・・・・・助けたいけど・・・今、それをやったら命を奪われるのは、私のほう・・・。


「くっ!」


 悔しさから、思わず声が漏れる。


「我慢しろ・・・キラ・・・。」


 ・・・分かってる・・・。


 ここでムリにでも助けようとして、両方とも命を奪われたら、今、私たちのために戦っている彼に申し訳が立たない・・・。


 私は涙を必死にこらえると、鈴蘭の手に引っ張られて前に進む。


 それから、いったい、何発の銃声を聞いただろう・・・。


 いったい、何人の倒れる仲間たちを見ただろう・・・。


 私たちが、走り初めて30分強。


 ようやく、私は施設の外に出るコトに成功する。


 ここまでくれば、後一息。


 途端に、後ろのほうで、中にいたときよりも倍以上に聞こえる轟音。


 ちょっと気になった私は、鈴蘭に手を引っ張られる形で前に進みながら、顔だけを後ろに向けた。


 そこに映ったのは、施設の上空で6体もある施設のギア相手に一歩も引けを取らずに、戦う皐月の姿・・・。


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