ギア・ドール
「・・・・すごい・・・。」
そんな言葉を漏らさずにはいられなかった。
施設には確か、護衛用に10体のギアが配備されている。
それらが全員出撃したとすれば、ケィ君は、この短時間で4体ものギアを撃破した計算になる。
実際、今も6体のギアに囲まれているにもかかわらず、劣勢であるようには、まったく見えない・・・。
これが本当に13歳の子どもにも負けていた、あのケィ君なのだろうか・・・。
「後ろを振り向くな!ケィに申し訳ない!」
声は、前のほうから聞こえた。
・・・・鈴蘭だ。
「あ、ごめん。」
そうだ。彼は今、命がけで戦っているのだ。
私たちを助けるために・・・。
・・・・一人でも多く・・・私たちを逃すために・・・。
再び顔を前に向けて、私は鈴蘭の背中を追いかけるように、走り出す。
その途端。
「!」
ひときわ、大きな轟音が私の耳を襲った。
今までとは違う音。
・・・・爆音だ。
私はたまらず、再度後ろを振り向く。
そこに映ったのは・・・・・。
・・・・・・・背中に被弾した皐月の姿・・・・・・・。