ギア・ドール
「ケィ君!」
私は叫ばずにはいられなかった。
孤軍奮闘している皐月にとっては、些細な被弾すらも命取り。
背中に被弾した皐月は、一瞬バランスを崩し、上空で反転する。
それが、致命傷だと分かるのに、理解できないほど、私も馬鹿ではない。
次の瞬間、皐月に注がれる6体のギアからの銃弾の嵐。
皐月は身体をランダムに動かして、何とか避けようとしたが、全弾回避というわけには行かない。
8発直撃。
皐月の左肩で大きな爆発が起こった。
・・・万事休す。
「くっ!」
私は、思いっきり奥歯をかみ締めて再び、前を向くと走り出す。
・・・ケィ君がやられる。
本当は、今すぐ助けに行きたい・・・。
戦っているのは、ケィ君なのだ・・・。
他のカリキュラムはともかく、ギアの操縦はからっきしダメで、13歳の少年も勝てることが出来なくて、判定はいつも「F」で、毎日、追試を受けているケィ君なのだ。