ギア・ドール
「くそっ!」
毒づきは、私ではなく鈴蘭から聞こえた。
本当は、彼だって助けに行きたいのだろう。
だけど、出来ない。
行ったところで私たちに出来ることなんて何もない・・・。
私たちに出来ることといえば、彼がやられるのを背中で見送りながら、逃げるだけ・・・・・。
くそっ・・・!
私の目から、涙があふれ出てくる。
せっかく、彼の本名も聞けたのに・・・。
無事に逃げたら、ケィ君の本名で遊んでやろうと思っていたのに・・・。
再度、爆音が私の耳に響く。
先ほどのものより大きい。
・・・・もう後ろを振り返る勇気は、私にはない・・・・。
しかし、次の瞬間。