ギア・ドール
「いてっ・・・なんだよ?」


「うるさい!自分の胸に手を当てて、考えなさい!」


 言われて、本当に自分の胸に手を当てる鈴蘭。


「・・・分からない。」


「アホ。」


 思わず、本音が口から漏れる。


「・・・まぁ、キラは格闘に特化しているところがあるからね・・・。どこかで小手先の器用さが必要とする射撃は苦手になるのも仕方ないよ。」


 気がついているじゃないか。このヤロウ・・・。


「うるさい!!・・・732点の人間に言われたくないよ!」


 デスチャーで、泣きまねをする。


「まぁまぁ・・・お互い落ちこぼれ3人組の仲間同士、そういうこと言うのはやめようよ。」


 落ちこぼれ三人組。


 私と鈴蘭と、もう一人を合わせてそう呼ばれている。


 虎神の成人年齢である16歳を迎えながらも、未だに徴兵令が下されず、軍事訓練から抜けられないことから、言われている総称。


 だけど、私も鈴蘭も・・・特に、もう一人の彼なんて、どちらかといえば、優秀・・・。いや、トップ3に入る成績を誇っている・・・。


 ナゼだろう・・・なんて疑問も既にわいてこない。


「その言い方やめてよね・・・。私たちが残されている理由って本当は、最新型ギアのパイロット選出のためでしょ?」

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