ギア・ドール

 ギア・ドール。


 総称して『ギア』と呼ばれることが多い、海底ドーム内の一般的兵器。


 その多くが、巨大な人型ロボットの形をしており、主な装備は、二本の足と二本の腕のみ。


 それに様々な武器を『手に持って』戦う汎用機である。


 もっと手の本数を増やせば、さらにバラエティ豊かな戦闘が出来るのではないかと思うかもしれないが、人間の脳みそは二本以上の腕は扱えないように出来ているらしい。


 操縦も慣れてしまえば、それほど難しくなく、私も鈴蘭もけっこう得意なカリキュラムの1つ。


 その最新型のパイロットを選出すために、私たちは未だにここでの訓練をさせられているというのが、本当の理由である。


「らしいんだけどね・・・。」


 口にしながら、言葉を濁す鈴蘭。


「違うの?」


 そんなこと聞かれたら気にならないわけがない。


「いや・・・それより、あそこにいるの、ケィじゃない?」


 言われて、鈴蘭が指差した方向に顔を向ける。


 すると、遠くで頭を垂れたままゆっくりと歩く青年の後ろ姿を見ることができた。


 とてつもなく、分かりやすく落ち込んで歩いている姿。


 間違いなくケィ君だ・・・。


 ・・・・・アイツ・・・絶対、諜報部とかには入れないだろうな・・・・・。


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