ギア・ドール

「なんだか、その言い方やと、俺が成績悪い日がないみたいやないか?」


「当たり前だよ。私、射撃テストで『800/800』なんて数字、生まれて初めて見たよ。」


 つまりは全弾命中。


 ・・・・・・それこそ、ありない・・・。


「アレだけ落ち着いた状況で、止まった的撃つぐらい難しくないやろう?周りに警戒する必要もないわけやし・・・・。」


 あぁ~悪かったですね!そんな状況で私は350発当てるのが、やっとですよ。


「それで、今回のお前のテストの結果は?」


 鈴蘭が、ケィ君の横に立って尋ねる。


 こう見ると、ケィ君が、なまじっか女っぽいため、カップルに見えてしまう。


 ・・・・なんか、悔しい・・・。


「え・・・別に?」


 明らかに、ケィ君は動揺を見せた。


 あやしぃ・・・。


「いいから見せなさい!」


 格闘は私の得意カリキュラム。


 素早くケィ君の懐に潜り込むと、彼の持っている結果用紙を奪い去る。


「あっ!」


 声を上げたときは、既に遅し、私の目にはしっかりとケィ君のテスト結果が目に焼き付けられた。


「何々・・・『058/800』・・・・・・・・・・え?」


 800発撃って、当たったのは、たったの58発?


「ありえない・・・。」


 思わず、言葉に出た。


 10歳の子どもだって、もっとマシな成績を出すぞ・・・。
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