虹色パウダー
第2章 ―夏―

サッキーと雪乃ちゃんの恋



―なつ―


夏が近付いていた。



学校では水泳の授業が始まり、僕はフェンスの上に腰掛けて毎日みんなを見ていた。



暑すぎる夏。


プールから飛んでくる水しぶきが気持ちよくて、僕は午後になるといつもこの場所に来る。



涼太と桜子はすれ違ったままだった。


あの公園での出来事からもうずいぶん時間が経ったというのに……




交際を断ったのに、淳平は桜子を想い続けている。


僕は何度も見た。


サッカーの部活中に、涼太に恋の相談をする淳平を。




だから、涼太は素直になれない。


今は、淳平の恋の相談に乗ることしか涼太にはできない。


涼太の性格から考えて、『俺も好き』だなんて言えるわけがない。






< 111 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop