虹色パウダー
第2章 ―夏―
サッキーと雪乃ちゃんの恋
―なつ―
夏が近付いていた。
学校では水泳の授業が始まり、僕はフェンスの上に腰掛けて毎日みんなを見ていた。
暑すぎる夏。
プールから飛んでくる水しぶきが気持ちよくて、僕は午後になるといつもこの場所に来る。
涼太と桜子はすれ違ったままだった。
あの公園での出来事からもうずいぶん時間が経ったというのに……
交際を断ったのに、淳平は桜子を想い続けている。
僕は何度も見た。
サッカーの部活中に、涼太に恋の相談をする淳平を。
だから、涼太は素直になれない。
今は、淳平の恋の相談に乗ることしか涼太にはできない。
涼太の性格から考えて、『俺も好き』だなんて言えるわけがない。