虹色パウダー
涼太は、濡れた髪をかきあげて、Tシャツの袖でおでこの汗を拭いた。
桜子は、ただじっと涼太を見つめていた。
瞬きもせずに。
「来てくれないかなって……思ってたんだ」
僕の勘違いではなかった。
やっぱり涼太は桜子のことを特別な存在だと思っている。
「あの時……ごめんね。一方的に帰ってしまって」
「いや。俺の方こそ、悪かった。ちゃんと謝りたいって思ってたんだ。ごめん」
桜子、顔が真っ赤だよ。
「ううん。いいの。私もちゃんと話も聞かずに逃げてしまって……」
「このボールさ……またお前が持っててくれる?」