虹色パウダー



涼太は、濡れた髪をかきあげて、Tシャツの袖でおでこの汗を拭いた。




桜子は、ただじっと涼太を見つめていた。


瞬きもせずに。





「来てくれないかなって……思ってたんだ」




僕の勘違いではなかった。


やっぱり涼太は桜子のことを特別な存在だと思っている。





「あの時……ごめんね。一方的に帰ってしまって」




「いや。俺の方こそ、悪かった。ちゃんと謝りたいって思ってたんだ。ごめん」





桜子、顔が真っ赤だよ。




「ううん。いいの。私もちゃんと話も聞かずに逃げてしまって……」




「このボールさ……またお前が持っててくれる?」




< 122 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop