虹色パウダー
「やっぱりサッキーのしわざか~」
呆れ気味の桜子は、もういいよって笑った。
余裕のある態度だった桜子が急変したのは、ある人の声を聞いてからだった。
「おう、おはよ」
そう、日向丘涼太。
弘道に気付いた涼太が、声をかけた。
涼太はまだ桜子に気付いていないようだった。
「うわぁ!!サッキー、私先行くね」
桜子はかばんを靴箱の前に置きっぱなしにしたまま走り出した。
「あれ?今のって……」
涼太は、走り去る後姿を見ながら、首をかしげた。
「あぁ、樋渡桜子だよ。お前ら何かあったの?」
弘道は、ニヤニヤしながら涼太に聞いた。
「別に。何もねーよ。あるわけないだろ!弘道に関係ないし。ってか、お前のメール意味わかんねーんだけど!!!」
動揺したときに口数が増えるのは、涼太の癖。
くくく、かわいいんだから。